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なぁ、僕が死んでも後追わんでな。
うん。
絶対、約束やで。
うん。
絶対、絶対やで。
うん。
耐えれんくなってもやで。
うん。
生きててな。
ねぇ。
ん?
寂しいなら寂しいって言っていいよ。
あかんよ。
なんで?
言うたら、僕きっと連れてってまうもん。
なら、私も約束して。
何?
私が死んでも後を追わないで。
嫌や。
だめよ。
耐えれんもん。
何に?
乱菊のおらん世界に。
じゃあ二人いっしょがいいね。
それも嫌。
なんで?
最期は乱菊に抱きしめられて逝きたい。
だから、二人でいいんじゃない。
生きとる乱菊に抱きしめられたいもん。
なんて我侭なの。
うん。僕我侭やねん。
じゃあ、約束。
今度は何?
あんたの最期を看取ってあげるかわりに、あんたが死んだらすぐ私を連れに来て。
うん。ええよ。
約束。
うん。約束。
あと一撃。それで全てが終わるはずだった。
「イヅル、ちょお待ち」
「隊長?」
「僕が殺るわ」
虚出現の報告を得て、市丸率いる三番隊がその任務にあたった。実際、虚はたいした強さではなく、わざわざ隊長の手を煩わせなくとも、副隊長である吉良だけで十分だった。しかし、あと一撃でとどめがさせるというとき、市丸は吉良の手を止めた。
最後の虚も倒し終わり、任務完了を告げ隊舎に帰ろうとしているときに、吉良は市丸に声をかけた。
「あの、隊長。先程、何か僕に落ち度があったのでしょうか」
「ん?何もないよ。なんで?」
「虚にとどめを指すとき、止められたので、何かあったのかと」
申し訳なさそうに、肩を落としながら市丸に問う吉良を見て、市丸はニヤっと笑った。
「なんや、そんなん気にしとったん?イヅルは心配性やなぁ」
「え?じゃあなんで」
「場所や」
「え?」
「というより、立ち位置やろか」
それだけ言って、隊長はまたいつもの笑みを浮かべて話を終えた。
振り返って先程自分のいた位置を見る。
足場も悪くなく、見通しもいい。味方を巻き込むような位置にもおらず、特に問題なさそうな位置だ。
しかし、真正面のその方向にあるものは。
あぁ、なるほど。血で汚してはならない方向でしたね。
その先に穢れてはならない人がいるから。
イヅルさんがとどめを指す瞬間、正面を向いた方向の先には十番隊隊舎があったのですよ。きっと。よくわかるよなぁ。コンパスで方角チェックしてたら、ちょっとウケるなぁ。