遅刻したハロウィン

まだいいよね。
１週間くらい遅刻したっていいじゃないの・・・・。

「なぁ、あん中どうなってんのやろ」
無視しよう。相手をしたって、どうせろくなことにはならない。
こっちが何を返したって、どうせ聞いちゃいないのだ。

「なぁなぁ、どう思う？」
さて、今日はどの地点にポイントを定めるのがいいか。

「なぁて。聞いとんの？」
この前は西の方を狩ったからな・・・。今度はもう少し南に進んでみてもいいかもしれない。

「ちょお、イヅル！」
「なんですか」
今日の隊長はしつこかった。

「中身の話や！」
「ですから、なんの中身ですか」
「あの包帯の中はどうなっとんのかっていう」
「・・・・干からびてるんじゃないですか」
「ホンマに言うとるん？！んなわけないやん！会うたことあんの、キミ？」
「遠目にチラッと」
「全部。全部完璧やねん。流れる金髪も、大きい瞳も、花びらみたいな唇も」
「でも、ミイラなんですよね？」
「ミイラて言うなや！あんなピチピチしとるやん！」
「包帯の中はどうかわかりません。そもそも、顔も隊長の妄想でしょ」
「それや！そこやねん・・・・。でも、包帯ほどくとか・・・・・ボク恥ずかしくてできひん！！」
「・・・・」
「あー、見たいわー。けど、むしろ自分から包帯ほどいてくれるん待ってるっていうか、ってイヅル？」

早々にアジトを立ち去り、地図を広げる。
どうせ、今夜の狩りもサボるおつもりだろう。顔もはっきりしない彼女に会いに行くために。
ただ、きっと美人なんだろうな、とボンヤリと思った。
彼女が包帯をほどくのが先か、彼が包帯を引き裂くのが先か。
まぁ、僕にはどっちでもいいんですけどね。



狼男×ミイラ女