天空の花婿

拍手お礼の別バージョン

「・・・なんであんたがここにいるのよ・・・」
「なんでて、勇者様が来てくれるん待っててん」
「・・・・帰るわ」
「ちょお、待ち！ボクのためにここまで来てくれたんやろ！？」
「・・・・・」
「たいへんやったやろ？いろいろ辛い目にも会ったんちゃうん？」
「・・・・・」
「あっ！こんなとこに切り傷ついとるやん。あかん。ちゃんとせな、跡になってまうよ？」
「・・・・・」
「髪もくしゃくしゃになっとるよ？せっかくの綺麗な金髪が台無しや」
「・・・・言いたいことは山ほどあるんだけど、とりあえず殴っていい？ううん、切っていい？」
「ちょっ！やっとラスボス倒して世界平和手に入れたとこやのに、ボク切ったら元も子ないやん！」
「なにがラスボスよ！ことごとく、弱らせてたのどうせあんたでしょ！？」
「・・・・・なんのこと」
「変だと思ったのよ・・・。毎回ボスが現れるたびに、何もしてないのに弱ってくんだから」
「・・・・早く来てほしかったし」
「そんなら、自分で逃げればよかったでしょ！ていうかむしろ、あんたが倒せばよかったでしょうが！」
「でも、そうならんとキミ、納得してくれんやろ？」
「何に？」
「勇者様は捕らわれのお姫様を救出して結婚するもんやろ？」
「・・・・・。言っとくけど、今の状況に何ひとつ納得してないわよ」
「今ごろ国をあげて、準備してるて」
「・・・・・」
「今度はキミがお姫様になるばんやな。綺麗やろうねぇ・・・・」
「・・・・・知らなかったの？」
「何が？」
「勇者は伝説の戦いの後、天空に帰るっていうのが定番なのよ」
「は？何？キミ、天空人なん？」
「だったら、どうするの」
「アカンよ！そんな、アカン！なんのために、魔王けしかけたと思てんの！？全部キミと結婚するためやで！？」
「・・・・・やっぱり、真のラスボスはあんだだったのね」
「ちょっ！何抜刀してんの！？」
「世のため人のため、私のために殺られてちょうだい」


捕らわれの若君（という名のラスボス）×女勇者