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「誰かに重ねられるなんてまっぴらです」
重ねられた書類には目もくれず、頬杖をつきながらぼんやりと窓の外を眺めている。
見慣れた光景だ。
「隊長」
「なぁ、イズル」
「ボク、ふられた」
「は?」
先に話しかけたのは自分なのに、そんことはおかまいなしで自分の話に持っていかれる。
これも日常なのでさほど気にしないが、非日常はその台詞だ。
「久々やわぁ、あないはっきりふられたの」
正直どうでもよかった。隊長が誰と付き合い、誰に振られようが。
ただ、隊長が誰かに振られるというのは自分も想像がつかない。
常日頃、女の敵の代名詞と呼ばれてもいいくらい、思わせぶりな態度を見せては次々と切り捨てていく男であるのに。
興味本位で聞いてみる。
「なんて言ってふられたんですか」
帰ってきたのは意外な言葉。
「ボクはその人のためにしか生きてないから、やって」
ただ、声をかけられただけであるはずの人がそこまで分かるなんて、相当だ。
もしかしたら、その人は隊長のことをずっと想っていたのかもしれない。
本当に残酷な男だ。
もしかしたら残酷なのは彼の女神かもしれない。
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