[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「なぁ、一年にいっぺんしか会えへんかったら、乱菊どうする?」
今夜は七夕。日本一有名な恋人たちが、一年に一度きりの逢瀬の日。
「乱菊やったらどうする?一年にいっぺんしか会えへんかったら」
アンタって相変わらずよね、と呆れた顔をしながら洗濯物をたたむ乱菊。
寝転がって乱菊の髪を指に巻きつけながら、しつこく質問を繰り返す。
「なぁ、どうする?」
「どうもしないわよ」
やっぱりな。
予想通りの答えに今度はこっちがため息。
「なんで?悲しんだりせぇへんの?泣き濡れて暮らしたりとか」
「アンタは私に泣き暮らしてほしいわけ?」
そんなわけない。
乱菊がそんな目にあうなんて冗談じゃない。自分で言っておきながら寒気がする。
「ほしくない」
「でしょ?例えそうなったとしても、絶対に泣いたりしないわ」
「・・・・ほな、会えんでも平気ってこと?」
そうね、なんて答えが返ってくるのだろう。それが悔しくて少し強めに髪を引っ張ってみるけど、全く気にする様子もない。
あかん。ボクって空気以下の存在なんじゃ・・・・。
「一年に一度は必ず会えるんでしょ?いつ出ていっちゃうかわかんないやつと、いつ離れ離れになるかわかんない不安を抱えて暮らすよりよっぽどマシよ」
・・・・・。
あぁ、彼女の髪の一筋一筋から伝わる怒りの霊圧。
それが余計に彼女を美しく見せるのはなんて皮肉だろうか。もっとみたいなんて言ったら確実に殺されるな。
「・・・・乱ちゃん」
「なによ」
「先日の件、まだ怒ってはるんでしょうか」
「別に。人が寝てる間に出てった挙句、3ヶ月もほったらかしにされて、やっと帰ってきたと思ったら大量出血で元の着物の色なんて分からないって状態のくせに、私を見て第一声が『乱菊、汚れるから近づいたらあかん』なんてほざきやがったキツネのことなんて、ぜんっぜん怒ってない」
「・・・ボクやったら天の川泳いででも毎日会える努力をするんで許してもらえないでしょうか」
「もう死にかけの人間の世話なんてごめんよ」
ボクのお姫さんの機嫌を直すには、短冊の力が必要だろうか。