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※メガネ様の乱とか丸無視ですよ。
「こんばんは~、松本さん居てはりますか~?」
「留守です」
「おっじゃまっしま~す」
「ちょっと!留守だって言ったでしょ」
「留守のうちからなんで返事返ってくんの」
「いい加減に毎日うちに来るのやめてよね」
「なんで?」
「迷惑なの」
「なんで?」
「・・・変な風に言われたくない」
「そか・・・・ほな、帰る」
そう言って、玄関の扉を開けかけたとき、ものすごい勢いで後ろから抱きつかれた。
「乱・・・・」
「そんな顔しないで」
「え」
「勘違いしないで。あんた、もうすぐ副隊長になるんでしょ?変な噂たったら困るでしょ?」
「・・・・そんなん今更やん」
そう、今更だ。院生時代から、ひどい噂を立てられたことも一度や二度ではない。ほとんどが、二人の圧倒的な実力に嫉妬した輩のものであったので、とりたてて気にもしなかったけど。
「でも、これからは違うでしょ。いろいろ」
「いろいろってなに」
「いろいろはいろいろよ」
そうして、ギンに抱きついていた乱菊の手が離れた。
「嫌や」
「ギン」
「嫌や」
お願い、わかって。面と向かっては言えないこの気持ちをわかって。
「またいっしょに住みたい」
「ギン!」
いさめるように僕の名前を呼ぶ乱菊。どうして?どうしていっしょにいてはいけないの?
振り向き、正面から抱きしめる。
「やめてよ、ギン!もう、・・・・もうやめなきゃダメなんだよ・・・」
何を?何をやめるというの?
「分かってるんでしょ?もう、あのころのままじゃいられないんだよ」
「だから、こんなふうにうちに来たりとか、ダメなんだよ」
「・・・・なら、なんやったら、いっしょにおれるん?」
あんたがそれを言うの?それをさせなかったのはあんたでしょ?
「離れてかんで・・・・」
離れていったのはあんたでしょう。だから、私のことも離して。
あんたから目を背ける私を許して。
「乱菊おらんようになったら、僕・・・・」
強められる腕の力とは逆に、だんだん弱くなっていく声。
だめ。抱きしめ返してはだめ。
私のために。あんたのために。
「乱菊・・・・」
あとどれくらい、この体を抱き返さずにいれるのだろう。
ギンが思う以上に、私はギンに侵食されている。けれど、私が思う以上に、ギンは私を必要としてくれているかもしれない。
嬉しいと微笑む自分を自分の中で殺してしまいたかった。