きれいに浄化してしまうから

pixivへの投稿を終え、ひとまず満足したので、またこっちのほうでお題でもしていうこかと思います。
今回のお題は『本音(を隠して)五題』【君を想う、春を思う　様　http://kimiharu.xxxxxxxx.jp/index.html】です。

では早速、下からどうぞ。

笑顔の彼女が嫌いだ。
それは僕だけに向けられるものではないから。
誰にでも明るく優しい彼女は、誰にでも笑顔を向ける。
きらきらした笑顔。太陽のように眩しくて、彼女の美貌と相まって誰をも惹きつける。
つまりは、僕以外の誰でも彼女に惹かれる可能性があるということだ。
しかもその可能性はかなり高い。

「見て。さっきの道具屋さん、薬草オマケしてくれたの」
彼女の手には、代金の２倍分はあろうかと思われる薬草が乗っている。
「・・・ホントだ。えらくオマケしてくれたんだね」
「そうなの！間違ってますよ、って言ったのに、サービスだって言って。お店大丈夫かしら」
道具屋の心配なんてしなくていいのに。
店番は若い男だった。大方、彼女の笑顔にボーっとして気づいたら多く薬草を渡していたというところだろう。
「どうしたの？ムスッとして？」
まずい。顔に出していただろうか。
「別に。なんでもないよ」
得意のポーカーフェイスでニコッと微笑む。
早くこの話題を終わらせたくて、さっさと歩きだす。
すると、ガシッと彼女に手首を引かれた。
振り返ると、上目使いの彼女の顔。
「心配しなくても、リュカだけよ？」
そして、満面の笑顔。

だから、嫌いなんだ。君の笑顔は。



【あなたなんか大嫌いよ（嘘、本当は大好き）】／本音（を隠して）五題